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伝統の研修システムをさらに
充実させ地域医療を担う
優秀な医師を育て上げる

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優秀な医師を育てるため、長年にわたって臨床研修制度に注力。

 日本では、大学で6年間にわたり医学教育が行われ、国家試験を経て晴れて医師になる。だが、医師免許を持たない学生の間は、法律的に医療行為を行えないため、大学卒業時点では、実践的な経験はほとんどない。そこで、新人医師を育てる目的で、指導医や上級医の下で研修を積む卒後教育を制度化したのが、「臨床研修制度」だ。
 名古屋第二赤十字病院では、この臨床研修を担う病院として昭和50年に「臨床研修病院」の指定を受けた。以来、高度急性期医療を担う優秀な人材を育成するため、歴代病院長が臨床研修に重きを置く方針を貫いてきた。今年8月には、臨床研修システムや教育体制を評価する「NPO法人 卒後臨床研修評価機構(JCEP)」から、東海・北陸地区で初、赤十字病院のなかでも初めてとなる「6年認定病院」に認定されるなど、同院の研修システムは高い評価を受けている。
news61-sr-2.jpg 長年この臨床研修に携わってきた副院長の両角國男医師は、「当院の臨床研修を受けた研修医は、どの病院にも負けない優秀な人ばかりだと自信を持っています」と胸を張る。「2年間の初期研修修了後、本人の都合などで他病院に移る研修医もいますが、その病院からは『知識や技術のレベルがとても高い』と喜ばれますし、研修医本人たちからも『名古屋第二赤十字病院を選んで良かった』と言われる。教育に携わる立場として、これは本当にうれしいことです」。

プライマリ・ケアを重視した伝統の研修システムで、
優秀な医師を輩出。

 同院の臨床研修の最大の特徴は、「プライマリ・ケア」に力点を置いている点だ。この「プライマリ・ケア」とは、患者の健康上のあらゆる問題に対する総合的な判断や診療のこと。医師のベースとなる初期診断の知識や技術。これを過不足なく習得できるのが、同院の臨床研修制度だ。
 臨床研修において初期診断の技術を磨くためには、数多くの症例に触れる「経験」が必要だ。同院の強みは、それを得る絶好の場所が確保されていること。年間約5万人、一日平均約140人、一次から三次まですべての救急患者を受け入れ、地域の「医療の砦」として機能する同院の救急外来である。その救急医療の現場を担う研修医は、上級医の指導を受けながら、軽症から重症まであらゆる診療に携わる。そのなかで、他の医療機関では学べないさまざまな症例の初期診断を学べるのだ。

スーパーローテート方式の先駆けとして存在感を発揮し続けたい。

 同院では、40年ほど前から「スーパーローテート方式」と呼ばれる研修方法が採られている。これは、早い段階で専門科に特化するのではなく、多くの診療科を回りながら幅広い知識を習得する教育方法だ。平成16年の臨床研修の義務化以降、全国の病院で同様のシステムが採用されることになった。しかし、最近では再び制度が見直され、専門科での教育に重きを置く旧来の方式に方向転換しつつある。
 副院長の両角医師は、この方向転換に異を唱える。「制度の見直しによって、2年間じっくりとプライマリ・ケアを学び、医師として必要な診断・診療能力を養うという発想から離れてしまった。これは不幸なことです。初期研修を修了すれば、どんな患者さんに遭遇しても困ることなく、きちんと専門医に引き継げる。それだけの研修内容を担保することが大事なのです。当院は、40年近くスーパーローテート方式の研修を続け、優秀な人材を輩出してきた実績があります。それだけに、この方式が優れていることを示し、今後もよりよい医師を育てる病院として存在感を発揮していきたいと思います」。

優秀な医師を育てるもの。
それは、地域で暮らす患者やその家族の理解。

 優秀な医師の育成には、臨床による経験の蓄積が必要だ。しかし現実的には、経験が乏しい研修医は患者から頼りなく見え、なかには「研修医には診察してほしくない」と拒む患者もいるという。
 「以前と比べて『いい先生が育つなら喜んで協力します』という方が増えているとは言い難い状況です。ならば、患者さんを診療する前に、生体に近いシミュレータで充分なトレーニングをしよう、と。そこで当院でも、大学以外では珍しいスキルズラボを院内に開設することにしました」。
 医師を育成し、充実した医療体制を構築するためには、「患者の深い理解」が必要不可欠だ。副院長の両角医師も「ぜひ協力してほしい」と訴える。「スキルズラボのシミュレータで充分な訓練を行いますし、研修医の後ろには必ず指導医がいます。そして、その先には日本最高レベルの専門医集団が控え、医療の質は病院全体でしっかりと担保しています。だからこそ、患者さんとそのご家族の方々には、私たちと一緒に医師を育てる輪のなかに安心して入っていただき、温かく厳しい目で見守ってもらえればうれしいですね」。

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