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がんの治療方針に大きく影響する
「病理診断」をご存じですか?

131114_future61-inside-illust.jpg昨年9月、一般病院では国内初のFISH自動解析装置を導入し、
精度の高い診断で診療に貢献する「病理診断科」について
ご紹介します。

病理診断とは、細胞を詳しく観察し、
その性質を判断する「面接」のようなもの。

news61-p4-1.jpg病理診断科部長 都筑 豊徳
 当院には、病理診断科という診療科がありますが、その存在をご存じの方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。この病理診断科では、患者さんの病変部から組織を採取し、診断を行う「生検診断」や、病変部から細胞だけを採取して診断する「細胞診診断」などを行っています。いわば患者さんの診療を陰で支える“縁の下の力持ち”のような診療科です。
 病理診断とは、人間で例えるなら、一人ひとりの顔を見ながら性格を判断するようなものです。患者さんの細胞を詳しく見ていくと、まるで人相のように病気特有の性質が表れているのがわかります。こうした細胞の形状やパターンを見ながら、適切な診療科に紹介し、適切な治療を受けていただけるようにするのが病理診断科の役目です。会社組織でいえば、面接で適性を判断し、適材適所で人材配置する人事課、といったところでしょうか。
 病理診断科で主に行われる「病理診断」では、大きく分けて通常の検査で一部だけを取り出す方法と、手術で病変部を切り取る方法の2つで検体を採取します。そして、採取した検体をホルマリンで固定して標本を作製し、腫瘍細胞の形状、腫瘍細胞が持っている異常タンパク質の性状、遺伝子異常のパターンを検索していきます。
 当院では、こうした検査の多くを院内で実施し、精度も自ら管理することで、より正確かつ迅速に行える体制を整えています。ただ、病理業務は目視や手作業が多く、機械化が遅れてきました。そこでここ数年は、病理業務の近代化を急速に進めています。その代表例が「バーチャルスライド」と「FISH自動解析装置」の導入です。

FISH自動解析装置などの導入で
より精度の高い病理診断が可能に。

news61-p4-2.jpgバーチャルスライド バーチャルスライドとは、標本の情報をすべてデジタル化する機械で、カンファレンスにおける情報共有、遠隔地へのデータ送付など、大きなメリットがあります。さらに、タンパク質のパターンを読み取る「免疫組織化学」という検査の解析を自動で行い、人間の目よりもブレのない安定した判定が可能です。一方、FISH自動解析装置とは、特定の遺伝子異常を検索し、主にがん診断に使われる遺伝子検査「FISH解析」を自動で行える機械のことです。昨年9月に一般病院では国内で初めて当院に導入され、これにより、以前の数十倍の精度で解析ができるようになりました。
news61-p4-3.jpgFISH 自動解析装置 現在の医学では、病理診断が占める割合が高く、なかでもがんの治療方針、化学療法での使用薬剤の決定などに大きな役割を果たしています。それだけに、病理診断では間違いのない診断をすることが何より大切です。
 当院では、できる限り正確かつ迅速な診断を行えるよう、高性能の機器を使った精度の高い解析を常に心がけています。ただ、正確な診断のためには、患者さんから採取する検体自体の質が高いことが大前提です。そのため、最初の検体では正しい診断が難しいと判断した場合には、再度検体の採取をお願いする場合があります。一見、遠回りで時間がかかるように見えますが、より精度の高い病理診断をすることが、最適な診療を行う近道です。患者さんのその後の治療にも大きく関わることですから、ぜひご協力をお願いしたいと思います。
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