タイトルSR.jpg

組織として、システムとして、
強固な提供体制を築き、
地域の救急医療を守る。

news50-sr-1.jpg

救急患者受入人数は、年間約5万人、
一日平均約140人。

 平成22年12月のある日、名古屋第二赤十字病院の救急部は朝から張り詰めた空気が流れていた。8時半前後に救急車が続けざまに4台到着し、救急患者さんが搬送されてきたのだ。医者や看護師たちは、患者さんそれぞれの症状に合わせて速やかに初療室や救急室、診察室を使い分ける。そして診察、緊急検査、または処置、あるいは本人や家族への病状説明にと動き回る。
 救急車が重なって到着することは決して珍しくない。また、自力で救急外来に来る人もいる。救急車搬送と自力受診の合計は平成21年で50968人。一日平均にすると、約140人の救急患者さんを救急部は受け入れることになる。この人数は、名古屋市内に15カ所(医科)ある休日夜間診療所の年間総受診者数とほぼ同じだ。

救急部と各診療科、救急医と研修医、
その巧みな連携プレー。

 これほど多くの救急患者さんを受け入れられるのは、名古屋第二赤十字病院救急部が北米型ERシステムを採用しているからだ。これはあらゆる救急患者を受け入れ、救急部と各診療科とが連携して対応する形式である。
 このなかで救急部の働きをさらに見ると、救急搬送された重篤患者への緊急対応と、自力受診した少しは余裕のある患者への初期対応がある。前者には経験豊かな上級医師が対応、後者には研修医がまずはあたる。
news50-sr2.jpg 救急部の神原淳一医師は言う。「研修医に単独診断はさせていません。本人が診た後は必ず私たち上級医師に報告し、その判断のもと診断を確定します。迅速で的確な対応が求められる救急現場だけに、部内の医師たちの連携が救急システムを支える鍵となります」。

我が国では救急医の絶対数が不足。
ならば自院で育てる。

 研修医とは、医師の国家資格取得後、臨床研修指定病院で2年間の臨床研修を受ける医師たちをいう。所定の診療科を回り臨床診療を学ぶが、救急医療もその一つであり、救急部にとっては貴重な戦力となる。
 その理由を、救急専門医11年のキャリアを持つ救急部副部長の稲田眞治医師はこう語る。news50-sr3.jpg「我が国の救急医学は、40年程前に誕生した未だ歴史の短い学問領域です。従って他科とは異なり、大学医学部に医師派遣を要請しても、安定供給される訳ではありません。つまり国として救急医の絶対数が不足しているのです。確かに経験のある救急医が、すべての患者さんを診ることが一番良いでしょう。しかしいずれの救急病院でも現実的にそれは不可能です。幸い当院は臨床研修指定病院として、毎年20名ほどの研修医がやってきます。彼らを上級医師がリードし、救急患者さんの状況に合わせ役割分担させることで、年間5万人の救急患者さんを受け入れることができています」。

救急医療は医の原点。
持てる力をすべて投入し、病院全体で闘う。

 救急部の医師について稲田医師は言葉を続けた。
「当院の救急部は大学医学部とは離れ、単独で救急医確保を行っています。そこで大切なことは、救急医療に意欲を持った研修医たちに、研修先として当院を選び続けてもらうこと。そしてそのなかから救急医をめざす医師を育てることだと思います。地域のためにも、救急医を育てることは当院の責任ですから」。
news50-sr-4.jpg 地域の救急医療に対する使命感。これは救急部だけのことではない。石川 清院長も「救急医療は医の原点。当院の医師は全員が救急医という認識に立ち、全科参加型の救急体制を貫くことを忘れてはならない」と、常に院内にメッセージを送り続けている。医療技術はもちろん、救急医療の仕組みづくりにも持てる力をすべて投入し、より高度な救急医療の提供をめざす姿がそこにある。

今回のキーワード

「全科参加型救急体制」

 名古屋第二赤十字病院救急部は24時間365日体制である。夜間・時間外には研修医を含め7名の医師、さらに特殊診療部と各診療科の専門医が11名、合計18名の医師が待機。救急外来を入り口に、患者さんの緊急度や重症度によっていつでも高度専門治療を受けることが可能なシステムを構築している。

【The Next Page】

|1|2|3|4|5|6|7|8|